入院漫談⑧

 前回の続きで、術後の話である。

 意識を取り戻した僕は、尿意に襲われた。麻酔から覚めきれてない体を、意識が無理やり引っ張って、トイレまで連れて行こうとしていた。確か前の病院で、いっぱいおしっこすると麻酔の成分がより早めに体外に排出できると言われたことあるような気がする。

 いざトイレで用を足そうとしていたが、突然出口から沁みるような痛みに襲われた。余談ながら、少林寺の技で金的蹴りというものがある。男なら誰でも恐る技だが、断然に今の方が痛いと思っていた。いや、次元が違う。まるで針に刺されたかのように感じた。

 その後、手術が予想より長くかかりそうだったので、止むを得ず術中導尿管を付けてくれたことを、先生から聞いた。

 あんまりの痛みにお小水が怖がって、溜まっていたのに全然出ようとしていなかった。その時覚えた痛みは、人生の中でもトップクラスぐらいじゃないかなと思った。なぜそんなに痛いのかを分析すると、外側ではなく内側が痛んでるから余計に痛いのではないかと結論ついた。

 我らプロレタリアの導師であるレーニン同志はかつて次のようなことを仰っていた。

 「砦や城を攻め落とすには、外部から攻めるより、その内部から破壊した方が効率がいい」と

 まさにその通り!

 つまり、 お小水を体外に排出する器官を城だとすれば、(城といっても、天守閣がついている程ごリッパなものもありますし、五稜郭みたいなのもある。そこは個人差)少林寺の金的蹴りは外から大砲で打つスタイル。それはある程度城イタムけど、やはり一番城をイタマセルのは、城の中の火薬庫を爆発させることでしょう。

 あの痛みを覚えた以来、しばらくトイレに行くのを控えていた。「城」の内側がボロボロであることを承知していたからである。どうしても我慢できない時は、必ずタオルを持ってトイレに行った。そのタオルの目的は二つあった。一つは手拭きのためであり、メインはやはり排尿時の痛みを緩和するためであった。使い道として、お小水が出る前にタオルを噛み締め、その後覚悟を決め一気に出す。

 

シェイクスピアの名台詞:弱きものよ、汝の名は女という。(Frailty , thy name is woman !)はあるが、僕は男だけど、やはり弱ったときは弱い...