入院漫談⑥

 僕が入院すると聞いてこのシリーズを期待していた読者の皆様、更新遅くなりましてすみません。このシリーズは本来一昨年終了する予定でしたが、最終回書いてなかったせいなのか、また新しい病気かかって入院せざるを得ないことになりましたので、今年も更新することになりました。
長い文章を書くのが久しぶりなので、一昨年のように受けがいいものになれるかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。
 もう更新することがないように心から祈っていますが...
 今回の入院原因は慢性副鼻腔炎です。
 簡単に説明しますと、人の頭の中、鼻から吸い込んだ空気を加湿及び加熱するための部屋のような空洞が4つあります。その半分が感染して、抗生剤約半年飲んでも根治できなかったので、手術することになりました。
 


 発症したのは、恐らくイギリス留学時からだろう。
 当時は2ヶ月間咳が続けており、市販の薬飲んでも治らなかったので、公立の金かからないかつ国民保険いらない病院に行き診てもらった。患者の負担額がゼロなので、医者の方の対応もご想像の通り、共産主義国国営企業で働いている者かのように深く問診してくれなかった。ただchest infectionと言われ、抗生剤の処方箋をもらった。
 1週間分の薬を飲み終えても、よくならなかった。ちょうどその間用事で頻繁にとある永世中立の国に行かざる得なかったので、ストレスや疲労で一気に悪化して、ついに血が混ざっている痰を吐くようになった。
 初めて喀血の情景は今も鮮明に覚えている。ローザンヌのホステルのトイレで、痰の色をチェックしたら、赤い糸状のものが混じっていた。
 まさに青天の霹靂だったが、すぐこれが血ではないと自分に言い聞かした。
 確かこれが朝飲んでいたオレンジジュースの色だと無理やり自分に信じさせようとした。
 が、あの後結局病状がどんどん酷くなり、毎朝まず痰を全て吐き出さないと1日始まれないほどだった。その痰を吐き出すには30分ぐらいかかった。
 痰の色は黄色と緑に赤が混じった感じだった。時に イギリスは秋だったので、町中木の葉っぱがどこにでも落ちていた。落ち葉の殆どが枯葉ではなく、色がついていたものだった。面は薄緑、裏は薄黄色。道路の上この二つの色に覆われた。
 ある日痰を吐き出した後、学校行く途中でこの光景を見てふいに思った。もし紅葉も落ちてたら自分の痰の色とそっくりだなと自嘲した。
 そして3ヶ月後帰国して、すぐ病院に行ったら、慢性副鼻腔炎と診断され、抗生剤を飲む毎日を過ごした。
 手術は内視鏡が使われた。
 まず、僕の鼻の骨の曲がった部分を切り取り、視野を広くする。空洞の入り口を拡大する。そして鼻の奥にある感染した空洞の粘膜を削り、洗浄する。最後に鼻の中にプレートを挟み、両鼻の奥まで、ガーゼで塞ぐ。
血や痰は鼻から落ちなくなったので、全部口経由で体外に排出する。最初は1分に2、3回ぐらい吐き出さねばならなかった。このブログを執筆するときは10分に2、3回ぐらいのペースでしている。また鼻の中ガーゼ入ってますので、当然鼻呼吸ができない。それを2週間続く。味覚というものは舌と鼻両方で感じるものなので、鼻が塞いている分、飯食べても味が分からなかった。そして、寝ているとき自分が自分のいびきに時々起こされてしまう。
 全身麻酔や導尿管による苦痛は3日目で消えたが、喀血や口呼吸がもたらす疲労感や痛みは今になっても完全に消えていない。
 予定では術後3日目からブログを開始した筈だが、ついに退院前日まで後伸ばした。

 

 入院に至る経由は以上までで、明日退院しますが、このブログはまた更新します。明日から、入院中の所見や考えた事を読者の皆さんとシェアさせていただく予定ですので、仕事の一休みとして読んでいただければ幸いです。そして今回こそこのシリーズを終わらせますので、ちゃんと最終回を書きます。

 長文や拙筆にも関わらず読んでいただき有難うございました。