入院漫談

入院して、すでに三日が経った。

全身麻酔による副作用で、昨日まではフラフラしていた。一時間以上の読書及び、ネットサーフィンをすると、目が赤くなって、開けれなくなる。

寝ることさえできなかった。

手術後の三時間の苦痛を思い出させるからである。

 

全身麻酔の患者は術後の三時間酸素マスクを吸わなければいけない決まりがある。患者のための措置だが、実に忌々しい決まりである。術中、自力で呼吸できないため、のどに管を通して、そこから酸素を入れ込む。その時は意識がないため、当然、何も思わないが、意識が戻ると急に喉に異物感を感じ、咳でこの異物感を拭き払おうとしてもそれが無駄である。でも咳をしないとこの異物感がますます増大する。その上酸素マスクをつけているので、咳で出た熱気がマスクの中に閉じ込められ、大変蒸れて熱苦しい状態になる。

三時間の苦痛はそれだけではなかった。

強い痛み止めを点滴しているので、意識が曖昧になる。「三時間」という概念さえわからなくなる。時間が短くて長いように感じる。時間を計るために、脳内で歌を再生させるのが自分のやり方である。この曲がおおよそ八分だから、八曲分を頭の中で再生すれば、一時間が経つということになる。ところが一曲を再生しただけなのに、その後、看護師に一時間経ちましたような事言われた。不思議なことである。今度は疲れ果てて、断続的に睡眠に入る。一回寝た後にもう一回目を覚ますと、すぐに時間を聞きたくなる。渾身の力を使い時間を聞いてみるが、どうやら15分ぐらいしか経ってないらしい。これもまた不思議なことである。

 

寝れば、いや、目を閉じるだけでもそれらのことを思い出し、たちまち目を開ける。要するに寝たくないのではなく、寝ることによって、それらのことを思い出すのが怖くて、寝れないのである。